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遠き世界へ [馬酔木]  page?



冷たいドアノブを手に取り
ドアを閉める


風がやけに冷たい


首にマフラーを巻き
木々が脱ぎ去った衣服の上を歩いてゆく


右手をポケットに入れ
「おまじない」を握り締めている


イルミネーション輝く道には
寄り添い合う恋人達が笑顔を輝かせている


そんな笑顔達を背に感じ
あなたに近づけるあの場所へ


少し長い坂をあの日のように登っていく
あの日と違うのは、白い息は一つ


あれ以来訪れなかったこの高台
それでもあの日と変わらない
カーテンが覆い
その下には散りばめられた光達
いつか無くなる光達は
まだそこにあった


美しい
今はこの世で一番美しいものになった

目を瞑れば思い出される
かつて一番美しかったものが


僕は笑った

そして一つのラインはここに引かれた


握り締めた右手をポケットから取り出す
汗ばんだその手の中には「おまじない」
右手の中の温もりを見つめながら呟く

「ここからが始まり」

そして、彼女に一番近いこの場所から、
遠天にいる彼女に届くよう
高く、高く、高く

「おまじない」は投げられた
暗闇に呑まれていった
それは散りばめられた光達の一つになった


ふーーー
と、一つ長い深呼吸


僕は振り返った
僕をここまで運んでくれたあの坂へ向かう

もう、振り返ることはない
「ありがとう」




「二人で旅をしよう」

最初は互いが別々に
それは永い、永い旅になるだろう

でもいつか廻り合う
世界は絶えず廻っているのだから

あなたと僕

次も笑って会えますように

あなたと僕


「ありがとう」で繋がる
永い旅路へ







[馬酔木(あせび)]
花言葉:「犠牲」「二人で旅をしよう」「清純な心」




ちょうど2年前に書いたショートストーリーがあります。
「遠き世界へ」とういものなのですが…
現在その作品を他にお披露目する機会がありまして、

この物語の完結編として見た頂けたら幸いです。





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遠き世界へ [紫蘭]  page?



冷たい彼女との対面からどれだけ時間が経ったのか
自分自身あの後からの記憶が無い

ただ現実として

彼女は冷たかった事と

空は黒いカーテンに覆われ

そして、意識も無く
何かに導かれるように昨日彼女と訪れた
あの高台へと足を伸ばしていた事
それらを否定する事は出来ない

無意識に辿りついたこの高台は
遠天にいる彼女に少しでも近づこうとする行為なのか
それとも彼女との思い出を辿ってきたのか
僕にはわからないけど
ここに立っている


隣に眩しい笑顔が無い今
現実世界はより眩しく輝いている
そして、この季節特有の澄んだ空気の上に
数多の星が輝いている

光り輝く世界を眺めても
星が輝く空を眺めても
涙が流れてくることはもう無かった


それは涙を流す子供が「孤独」を知ったとき
冷静に世界を見つめ始める様によく似ていた

そんな子供が巡らせるのは感謝の気持ちだ

この暗い世界で道標となるような明るい笑顔を与えてくれたのは彼女
最後に感謝の気持ちを聞かせてくれたのも彼女



「ありがとう」

最後に聞くことが出来て良かった

僕らはまだ繋がっている

そんな気がする

「さよなら」じゃなくて良かった

そう、まだ繋がっているから


僕は強い人間じゃないから、現実を受け入れるには時間がかかるだろう
でもあなたが旅立った遠天に最も近いこの場所で誓う


あなたの事を想い続ける
そしてあなたへの感謝の気持ちを忘れない


彼女を生み出した月が
彼女の体温を奪っていた


冷たい風が吹き付ける
僕の身体も冷たくなっていた
それでも僕は生きている
彼女よりも温かい


「さよなら」は言わない
それが唯一彼女と繋がっている証だから


この対岸に立てた誓いを背に現実への坂を下る



「霜月」
そう呼ばれるに相応しい月
そして小さな物語が永遠に続く道標


「終わり」





[紫蘭]
花言葉:「あなたを忘れない」「お互い忘れないように」「変わらぬ愛」



後半には「遠き世界へ」の後書きを少し


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テーマ : 誰かへ伝える言葉 - ジャンル : 小説・文学

遠き世界へ [真正貝細工]  page?


その朝は「霜月」といわれる11月に相応しい日だった
朝早くから仕事に向かう彼女
空は冷たく
朝日はより一層煌びやかに輝いていた



彼女のブーツの音静かな世界に響いていた


いつものように信号の無い交差点に差し掛かる
1台の車は彼女の存在に気付きブレーキをかけた
いつもと違っていたのは
今年初の霜天と煌びやかな朝日


タイヤを奪われ、視界を奪われ
衝突音が響き渡り

冷たい空に投げ出され

そして何もかも堕ちていった


病院に着いた彼女に意識は無く
すでに一つの答えは出されていた



家を飛び出した僕の頭の中には
一切の答えを拒絶し続けていた


病室に着いた僕には
そこに横たわる彼女の沈黙とその答えしか待っていなかった


不思議と涙は出なかった
整理できなかったのか
それともまだ疑っているのか


頬を撫でた


彼女の身体は人間の体温にしては冷たく
還った人間の温度にしては温かかった
確かに彼女であるのに
すでに彼女ではない、そんな気がした


そしてそっとと左手に触れたとき
薬指にはめられた「おまじない」がとても温かかった
冷たく落ちてゆこうとしている彼女と反して
この「おまじない」は今でも温かかった


すると彼女の母は僕にこう言った
「この病院に運ばれる前から右手で左手の薬指を覆い、
 その上から左手を握り締めていた。
 意識も無いのにその力強さは救急隊員、看護師さん、お医者さん。
 誰にも引き剥がせないほどだった
 手を解くことが出来たのは、
 あなたが病院に到着するのとほぼ同じくらいなの。」



ようやく凍っていた涙が
一つ、また一つと流れは出した
そしてその流れは止められなくなっていた


彼女が冷たくなっていく悲しみからか
彼女が示した僕への感情の嬉しさからか
涙の理由はわからないけど


でもその涙は彼女のためだけに流されていた



そして僕は彼女を失った



「続く」






[真正貝細工(しんせいかいざいく)]
花言葉:「不変の誓い」「永遠の悲しみ」

アンモビウムという名の方が親しみがあるのかもしれない
枯れ難いらしい。
花言葉も納得出来る。

命だけじゃないけど、なかなか自分で決めた終わりを迎えられる事は少ない。
予期せぬことが多かったり。


自分で決めた終わりを迎えらるのはある意味では幸せといえるのかもしれない。

テーマ : 誰かへ伝える言葉 - ジャンル : 小説・文学

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